画像:https://www.6sqft.com/nyc-water-towers-history-use-and-infrastructure/
こんにちは。Chihiro(@chihiro_in_NY)です。
今日は私の職業であるエネルギーエンジニア(Energy Engineer)って一体どんな仕事なの?というところについて紹介したいと思います。
エネルギーエンジニア(Energy Engineer)って何?
- New York Cityのビルの省エネを推進する
- ビルのHVAC( 暖房、換気、および空調システム)の点検とテストをする
- 既存システムのアップグレード+最新の省エネ設備の提案をする
エネルギーエンジニアとは、ニューヨーク市Department of Buildingの地域法Local Law 87に従って、商業ビルや大型住宅の消費エネルギーをモデル化し、削減のための提案を行う仕事です。対象となるビルは、築10年以上、かつ総面積が50,000 Square Feet以上の商業ビルと集合住宅です。これらの建物は10年に一度、エネルギー監査を受けなければならないのです。
簡単に説明すると、こういう図になっています。「ニューヨーク市内の商業ビル&集合住宅」と記載しましたが、正確にはビルのマネジメント会社との契約になります。
なぜこの仕事を選んだのか?
- 大学院在学中に取った「Building Efficiency 」というクラスが最高に面白かったから
- ニューヨーク市は古いビルが多く、今後の可能性を秘めているマーケットだと思ったから
この2つが主な理由になります。
仕事でNYCのビルについての情報をよく見るんだけど、建てられたのが1900年とかのビルが存在することに驚く😳120年前に建てられたビルで、暖房の設備は45年前のまま…とかすごく多いから省エネ事業のマーケットとしてはとても魅力的でやりがいがあるといつも思ってる🏢
— Chihiro🇺🇸引きこもり中 in NY (@chichiro_opomri) November 22, 2019
実際エネルギーエンジニアってどんな仕事をしているの?
現場調査
まずスタッフ数名でビルを訪問し、ビルの管理人に聞き取り調査を行います。
ここで把握していくべき事項は以下の通りです。
- ビルの暖房設備に使われる主要燃料
- 主要配管システム
- 冷房システム(冷却塔の有無など)
- 換気システム
- 公共料金の支払いについて
その後、ビルの中でオーナーが管理している場所を全て漏れなく調査します。
特に時間をかけて調査するのはボイラー室です。ボイラーとは、ビル全体の暖房やお湯に使用される熱を作っているシステムのことです。そして、ビルのシステムの中でもエネルギー消費の割合がら大きいのがこのボイラーなのです。残念なことにニューヨークの多くのビルでは30年ほど前の古い物使用されています。これを新しくするのは相当な費用が必要なので、みんな最新のコントローラーを設置したりと、ありとあらゆる手を尽くして効率アップを図っています。
同様に冷房システム・換気システム・エレベーターシステム・熱水システムなどを全て把握し、写真を撮り、目視したりテストしたりしてシステムに問題がないか、修理や部品の交換は必要かどうかをチェックしていきます。
ビルの大きさにもよりますが、2時間ー4時間ほどかけて現地調査を行っていきます。
必要情報を分析し、エネルギー消費をモデル化
現地調査が終わったらレポート作成に取り掛かります。
まず、ビルで収集したデータをソフトウェアに入れます。
- ビルの情報(総面積、階数、屋根の素材、窓の素材・個数など)
- 各部屋の面積
- 照明の種類
- 暖房・冷房・換気システム(総出力・効率・運転時間・設定温度など)
またこれらの数値を正確にモデリングするために、
- 放射時系列
- 通気率
- 稼働率(システム・人間の数)
- 気温・湿度
などなど・・・(まだまだたくさんありますが)色々な要素を考慮しながらエネルギー消費、また暖房負&冷房負荷を算出します。
参考ビデオはこんな感じです。これは、Energy Modeling Softwareの中では一番有名な「eQuest」です。実際に多くの企業で使用されているソフトウェアです。私は大学院で取ったクラスでこのソフトウェアの使い方を習いました、
Building Shells and Heat Transfer Surfaces eQUEST | Energy-Models.com
既存システムの修理とアップグレードの提案
ます、ビル訪問の際に見つけた既存システムについての提案を作成します。
- システム自体に問題があり修理交換が必要
- 気温設定温度や温水の温度が高すぎる/低すぎる
- パイプに断熱材がインストールされていない
など問題点を発見したら
- 現在の消費エネルギー・年間コスト
- 改善後の消費エネルギー・年間コスト
- 改善のための費用
これらの数値から、削減エネルギーと投資回収期間を出します。
最新の省エネ設備の提案
次に、コストはかかるけど、その分設置すればエネルギー削減幅も大きいシステムの導入提案を作成します。
例えば
- 太陽光発電の設置
- LED照明の導入
- 暖房器具に設置するTRV(サーモラジエターバルブ)の導入
などです。他にも色々あります。そして、既存システムでも行った手順で削減エネルギーと投資回収期間を出します。
現地調査の結果や写真、チェック項目、モデル化した省エネ提案、公共料金分析、通算コストなどまとめていき、最終的に提出するレポートは、1つのビルにつき計150ページほどになります。
取得すると有利な資格
- Certified Commissioning Professional, CCP
- Certified Building Commissioning Pofessional, CBCP
- Building Commissioning Professional, BCP
- Existing Building Commissioning Professional, EBCP
- Cetified Energy Manager, CEM
- Certified Energy Auditor, CEA
- Building Energy Assessment Professional, BEAP
- Professional Engineer, PA
- Engineer In Training, EIT
と色々ありますが、とにかく上を目指してスキルアップしやすい職種ともいえるでしょう。私は一番下にあるEITを勉強中です。
最後に
最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございます。こんな記事、誰の役に立つのかな・・・とか思いながら書いていましたが(笑)少しでも皆さんがエネルギーエンジニアとはどんな職業なのかを知っていただければ嬉しいです。
それではー!